COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは
主にタバコの煙に含まれる約4,000種類の有害な化学物質を吸い続けることで、気道や気管支が炎症を起こし、肺を壊してしまう病気です。慢性気管支炎や肺気腫を発症させ、放置していると普通に歩くだけで息切れや呼吸困難を起こすようになり、寝たきりになって最終的に呼吸不全や心不全などで死に至ります。日本では、このCOPD(慢性閉塞性肺疾患)で亡くなる方が増えています。
喫煙と慢性閉塞性肺疾患
COPDは喫煙と関係が深く、COPD患者の90%は喫煙者だとされています。継続した喫煙が10~20年続くと発症しはじめます。日本の喫煙率は高く、今後も患者数の増加が続くとみられています。
リスクと喫煙量は比例しており、1日25本以上の喫煙は、非喫煙に比べるとCOPDで死亡する確率が20倍以上高くなるとされています。
COPDで発症する代表的な病気
慢性気管支炎
気道や気管支の炎症が長く続くと痰が増加します。また痰を押し出す力が弱くなり、咳で痰を押し出すようになっていきます。進行すると痰が気道や気管支の内壁にたまることで空気の通り道が狭まって呼吸がしにくくなります。
肺気腫
肺には体中から運ばれてきた二酸化炭素と酸素を交換するための肺胞がたくさん存在します。肺胞はブドウの房のような形をしていますが、肺気腫になって敗亡の壁が壊れて弾力が失われると二酸化炭素と酸素の交換に支障が生じます。
チェック
「なんとなく咳が増えた」「息切れしやすい」といった症状があったらCOPDの可能性があります。下記のセルフチェックで、確かめてみてください。
- 1日に何度も咳をする
- 1日に何度も黄色がかったり粘ったりする痰が出る
- 同年代の人に比べて息切れしやすい
- 40歳以上である
- 現在タバコを吸っている、または以前吸っていた
※GOLD(GLOBAL INIATIVE FOR CHRONIC OBSTRUCTIVE LUNG DISEASEより引用)
上記の5つの項目で、3つ以上当てはまる場合はCOPDの可能性がありますので、ご相談ください。
壊れてしまった肺胞は元に戻せませんが、禁煙によって肺機能の悪化を防ぐことができます。適切な治療や呼吸トレーニングで症状の改善も期待できます。呼吸困難で苦しい思いをされたり、寝たきりになることを防ぐためにも、禁煙をぜひご検討ください。
COPDの検査
Ⅰ. 最新型16列マルチスライスCT検査
最新鋭のHITACHI製CT
平成29年7月より日立製最新型16列マルチスライスCT「Supria」を導入致しました。この最新型CTは従来の被ばく線量を約1/3に抑え、短時間でより鮮明な画像を得ることができるため、がんやその他、多くの疾患において、今まで以上に、精密な診断ができるようになります。
新機能
☆ COPD(慢性閉塞性肺疾患)の診断、進行度を計測 ☆
COPDは2015厚生労働省統計にて死亡原因第10位となっており、今後、さらに順位が上がると予想されています。2001年の疫学調査によると、日本人の40歳以上のCOPD有病率は8.6%、患者数は530万人と推定されましたが、病院でCOPDと診断されたのは約26万人と大きな開きがあり、多くの人がCOPDになっていることに気付いていない、もしくは診断されておりません。タバコを吸わない方でも、環境要因や持病によって、いつの間にかCOPDになっていたということも珍しくありません。気になる方は外来でご相談ください。検査はCTを通常通りに撮影するだけになります。
COPDの治療
昔は治療方法がない病気と言われていましたが、現在では薬物療法や呼吸のリハビリテーションなどを組み合わせた有効な治療法が存在します。
COPDの初期段階で、喫煙されている場合は禁煙が治療のスタートとなります。
症状が出始めている段階であれば、薬物療法を行います。長時間作用型抗コリン剤や長時間作用型ベータ刺激剤の吸入などがあります。
呼吸のリハビリテーションには、運動療法や呼吸トレーニングがあります。
進行すると日常の動作が困難になり、重症化すると通常の呼吸も困難になって酸素の吸入療法が必要になってしまいます。そうならないためにも、喫煙されていて咳や痰が続いている方は、できるだけ早くご相談ください。