CVポートとは
中心静脈カテーテルの1種で、皮膚の下にポートを埋め込み、それによって薬剤を投与できるようにするものです。100円硬貨程度のサイズの本体と薬剤を入れるカテーテル(チューブ)で構成され、本体のセプタムという圧縮シリコンゴムの部分に専用の針を刺して薬剤を注入することで血管内に薬剤が投与されます。
CVポートの埋め込みには手術が必要です。首や鎖骨の下にある血管からカテーテルを入れて先端を心臓近くの太い血管に留置します。本体は、左右どちらかの胸の皮膚の下に埋め込みますが、腕に埋め込むこともあります。体内に埋め込むため、外からはほとんどわかることがありません。
CVポートの主な対象患者
- 経口摂取が困難なケースで、ご本人やご家族が胃ろうに対する拒否感を持っている
- 胃ろうを検討中で、その間の影響状態低下を予防したい方
- 通院による6日以上の継続した輸液が必要だと判断された方
- 継続的な化学療法を行う予定がある方
- 高カロリー輸液が必要と判断された方
CVポートの利点について
CVポートは薬剤を注入する際にセプタムの部分に針を刺します。この部分は大きく簡単に針を刺せるため、1回で確実に行うことができます。これまで広く行われてきた末梢静脈留置針の場合、血管の太さや強度によりますが針を何度も刺し直すことによる苦痛が起こるケースがよくありました。CVポートでは、こうした苦痛を軽減できます。
体格などにもよりますが、体内に本体を埋め込むため外見上もほとんど目立たず、生活への支障もありません。また、末梢静脈留置針の場合には、腕を動かすことにより薬剤が漏れる可能性があるため、動作に制限がありました。CVポートは、薬剤投与中にも両腕を自由に動かせるため、本を読む、編み物をするなどが可能ですし、スマートフォンなども支障なくお使いいただけます。
また、カテーテルの先端は心臓に近い太い血管に留置されているため、刺激が強い薬剤を投与する場合でも、静脈炎を起こす可能性を抑制してくれます。
さらに、末梢静脈留置針の場合、長時間かかる薬剤の投与は入院した上で受けなければならないこともありました。CVポートは体内に埋め込まれていますのでご自宅でも薬剤の投与が可能ですし、針の抜き差しも患者様ご本人が行うこともできます。
しっかり管理を行うことで感染率も低く抑えられますし、長期間の使用も可能になります。注意点をしっかり理解して、適切な管理を行っていきましょう。
CVポートのリスクについて
体内に埋め込むための小手術が必要です。異物を体内に入れるわけですから、ご不安を感じる方もおられます。
また、挿入や手術、埋め込んだ後で合併症が起こる可能性があります。検討の際にはしっかり説明を受けて、リスクを理解することが重要です。
留置方法について
薬剤を投与するルートとなるカテーテルは鎖骨下静脈から挿入して、先端部を上大静脈(中心静脈)に留置するのが一般的な方法です。比較的太くてカテーテルの血管内走行距離が短い鎖骨下静脈から挿入するため、血栓形成が少なくなります。また、上大静脈は心臓に近い太い血管です。血液量が多く、血流も速いため、高カロリーの輸液も投与が可能というメリットもあります。